お金の流れが変わった

書評

大前研一による著書。

リーマン・ショック後の世界経済の変革とこれからの日本の取るべき方策について書かれた本。

この本は3.11の前に執筆されたものであるが、原発が日本の発展要因の大きな柱の一つになりうる、というき記述については、現在の大前さんはどう考えているのだろうか。

本文に「この国では原発というと、すぐに『絶対に安全か』が議論の争点になりがちだが、本来、科学技術に絶対安全なものなどあるはずがないのだ。自動車にしてもアクセルとブレーキを踏み間違えれば、人の命を奪う凶器となる。けれども、自動車は絶対に安全ではないから廃止すべきだとは誰も言わない。原発だからといいってヒステリックになるのはおかしいのだ。」記述があるが、これについては異論がある。

現に、原発の事故によって、我々は人命(長期的にいったい何人が犠牲になるのだろうか?)だけではなく、国土の一部を失ったも同然になっている。もちろん科学技術には絶対はない。しかし、なんらかのアクシデントが起きた際のリスクマネジメントがしっかりできていなければ、正確な被害予測ができていないならば、原発については、慎重な姿勢を取る方が賢明なのではないだろうか。

また、東京都南東部の沿岸部の再開発による海外企業の誘致と100万都市の形成による経済活性化についての記述についても、現在の大前さんの考えを是非聞いてみたい。私は今回の震災の影響によって、津波や液状化の影響を受けやすい、いわゆるウォーターフロントのような地域には暮らしたくないと以前にもまして考えるようになった。はたまた、リスクを冒すことを最も厭う企業が日本のそのような地域に進出しようとするとは、少なくとも今のわたしには考えられない。大前さんはどう考えているのだろうか。

しかしながら、この本には共感できる部分がたくさんあり、読んでいて日本のこれからを担っていく人間の一人としてある種の焦りのようなものを感じた。「外向き、上向き、前向き」私もこれを常に心に、頭に、留めておこう。

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